
星野敏
(一社)ため池みらい研究所 代表理事
東播磨フィールドステーションは,市民・大学・行政が連携して,地域のレジリエンス(Resilience; さまざまな環境・状況の変化に適応し,持続 発展していく力)を高めていくための交流・研究拠点です。
大学(神戸大学大学院農学研究科,京都大学大学院農学研究科,兵庫県立大学地域創造機構)と兵庫県東播磨県民局との連携協定(2018年6月〜)のもと,(一社)ため池みらい研究所を中核機関として位置づけて活動を進めています。主要な活動は次の3つです。
地域の自然資源の維持・活用と,地域ビジネスや事業の創出・成長を促すため,多様な主体の協業・協働関係(=エコシステム)を構築していきます。
地域の課題を解決し新しい価値を生み出す人々,地域資源の管理活用をすすめる人々のための学習,実践,研究,出会いの機会をつくっていきます。
地域で育まれてきたナレッジ(知識,知恵,情報など)を「見える化」し,継承をすすめるとともに,新結合を促すことによって新たなナレッジを生み出していきます。
地域づくりをおこなっていくためには,データに基づいた戦略が重要だと考えています。既存のデータの整理に加え,新たなデータを収集し,地図情報システム(GIS)や経済モデルを駆使して分析します。その結果をもとに,政策立案,戦略策定,プロジェクトのスタートアップをサポートしています。
ため池の管理者になったけど管理方法がよくわからない…ということが実際に起きており,今後もそういった悩みを抱える人は増えていくと予想されます。管理していくために何ができないといけないか,またどういったツールがあれば,適切に管理できる人材が育成されるのかをワークショップ等を通して検討しています。
本来ため池は様々な形で活用されていましたが,今日では農業用水・貯水がメインとなっており,市民はその恩恵を感じにくくなっています。近年,ため池の新たな活用方法の一つとして,ため池ソーラーがみられます。ため池ソーラーにはどういった課題や可能性があるのか,関係主体へのヒアリング調査や研究機関と連携を図りながら進めています。
ライフスタイルの変化に伴い,管理されなくなった里山も多くみられます。しかし,里山の中には,価値のある資源も多く存在します。そういった資源を活用するための活動を展開・サポートしています。具体的には,山採りした木々を,お店などの植栽として活用するなどの仕組みづくりをおこなっています。
*山採り:自生している幼木を掘り起こし,他の土地に活着させること
畦やため池の堤体の雑草の管理が大きな地域課題となっています。現状,個人や営農組織といった地域レベルの草刈り,シルバー人材センターなどにみられる広域レベルにおける草刈りサービスがみられますが,それらを補完するようなコミュニティ(「畔師」グループ)を形成していくための活動をおこなっています。
東播磨フィールドステーションを拠点に進めてきた実践と研究です。2021年10月からは(一社)ため池みらい研究所が中核機関および事務局となって活動を展開しています。研究内容に関する詳しい内容はため池みらい研究所のホームページをご確認ください。
東播磨地域,ため池・水辺を中心とした地域資源管理に関する新事業,実践活動,共同研究,学生研究の提案を広く募集しております。
市民,企業,行政,NPO,県区勇者,学生のみなさん,まずはご相談ください。