新B4の皆さんへ

臼井研究室、新4回生向けのサイトへようこそ!
研究室配属に向けてオープンラボや研究室紹介に参加していろいろ情報収集していると思います。
このサイトでは、臼井研究室(計算宇宙科学分野)の新4回生向けの紹介を書きます。
内容は以下の通りです。





研究室の場所

〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
神戸大学 大学院システム情報学研究科 システム情報学専攻
システム情報学研究科棟(システム棟)3階 
エレベータ降りて右手 → 地図はこちら


臼井研究室ってどんな研究をするところ?

一言で言うと、月・惑星や人工衛星の周りの宇宙環境に関する大規模シミュレーション研究を行なっている研究室です。
より専門的には、「プラズマ」と呼ばれる希薄な電離気体を研究の対象にしています。学問としては、力学、電磁気学、気体運動論、統計力学などを取り扱います。
スーパーコンピュータを数日間にわたって使用する非常に大規模シミュレーションを実施します。宇宙に関心がある方、学術に入門したい方、自作のプログラムでスーパーコンピュータを本格的に利用したいという方におすすめです!
先輩方が行っている研究については、こちらを参照ください。

研究テーマの多くが宇宙理工学に関するものであり、国内外の研究機関や企業との共同研究も行っています。
オスロ大学、コロラド大学、ウォーリック大学との国際共同研究や、月惑星探査ミッションに関連した研究などWorld-Wideな研究を推進していて、とても国際的です。
研究手段として計算機シミュレーションを使うので情報知能工学で学んできた皆さんが活躍できる場がそろっています。


2024年オープンラボ情報

2024年の臼井・三宅研究室のオープンラボは下記のスケジュールで開催します。
※当HPとBEEF Ventureの両方の情報をチェックしてください。

対面説明会
【日時】
 3月14日(木)①15:00~16:00、②16:00~17:00
 3月22日(金)①14:00~15:00、②15:00~16:00
 3月25日(月)①10:00~11:00、②11:00~12:00
【場所】
 システム情報学研究科棟3F S307セミナー室(エレベータを降りて右手廊下つきあたり)
 システム棟の場所はACCESSから確認してください。


新4回生にはどんな研究テーマがあるの?

皆さんが一番気になるところですよね。
3回生までの授業では、答えのわかっている事を勉強してきましたが、4回生の卒業研究では、答えを誰も知らない事を計算機シミュレーションで解き明かしたり、新しい数値手法を使ってシミュレーションができるようにします。
初めは少し戸惑うかもしれませんね。でも、大丈夫です。
教員、先輩や同輩といろいろ話し合いながら卒業研究を進めていきます。

月・惑星環境に関する計算機シミュレーション研究開く

太陽系宇宙空間は太陽起源の荷電粒子大気(太陽風)で薄く満たされている。月や惑星、また人工衛星はこの宇宙プラズマから様々な影響を受け、周辺の電磁気的な環境が変化する。本研究では、スーパーコンピュータを用いた大規模な計算機シミュレーションにより、これらの現象を解き明かす。

(1) 月面の環境
 月面は太陽風との直接接触や表面からの電子放出により帯電する。この帯電により月面の静電環境は大きく変化するため、その理解は今後の人類の月面探査や活動において非常に重要である。本研究では、我々が開発した宇宙環境シミュレータープログラム「EMSES」を用いた計算機シミュレーションにより、様々な状況における月面の静電環境を再現し理解するとともに、帯電による月面の砂れき(ダスト)の浮揚や上空での挙動についても定量的に把握する。

(2) 太陽風が吹き付ける小型天体周りの環境
 太陽風によって、太陽系の小型天体(月、小惑星、水星など)周りの空間がどのように乱されるのかに関して、大規模な計算機シミュレーションにより再現、可視化し理解する。特に、固有磁場や局所的な磁場領域を持つ小型天体と太陽風の相互作用に着目し、小型天体の周辺に形成される磁気シールド領域(磁気圏)の構造やそこで生じる電磁現象に関する定量的な理解を深める。

*これらの月・惑星環境のシミュレーション研究は、現在進行中または計画されている国際宇宙探査ミッション(水星磁気圏探査のBepiColombo計画、火星衛星フォボスのサンプルリターンのMMX計画、月環境探査のアルテミス計画など)にも重要であり国際的な注目度も高い。

*2024年度卒論テーマ(予定)
 ①月面レゴリス帯電実験と連携した数値シミュレーション研究
 ②火星上層における希薄大気流出過程解明に向けた連成シミュレーションモデル開発

人工衛星環境に関する計算機シミュレーション研究開く

太陽風のみならず、地球起源の荷電粒子大気によって人工衛星表面は帯電する。また推進のために衛星から能動的に噴射する荷電粒子ビーム自身が人工衛星の環境に影響を与える。本研究では、大規模計算機シミュレーションによりこれらの状況を再現し、工学的な観点から人工衛星環境を把握する。

(3) 人工衛星および衛星搭載観測機器の帯電現象
 衛星表面は、宇宙空間プラズマとの直接接触や光電子放出により帯電するが、衛星周りの宇宙環境の変動によってその帯電具合も変動する。衛星帯電は衛星搭載観測機器に影響を及ぼすだけでなく、衛星動作不具合や故障の大きな要因であるため、衛星帯電変動の把握は非常に重要である。本研究では、宇宙空間中を巡行する人工衛星をシミュレーション空間中に配置し、周りの荷電粒子大気がどのように応答し、衛星帯電に寄与するかについて計算機シミュレーションによって解き明かす。

(4) 衛星搭載イオンエンジンビーム
 衛星推進システムの一つとして、重イオンを噴射して推力を得る電気推進器が実用化されている。はやぶさ2でもその一種のイオンエンジンが推進器として使われた。イオンエンジンでは衛星からイオンビームを噴射し同時に電荷中和のために電子も放出する。しかしイオンと電子の挙動は大きく異なるためビーム電荷中和過程は複雑であり、その中和度合いによっては衛星周りの環境に悪影響を及ぼす。本研究では、衛星からのイオンビーム放出と電子による電荷中和を計算機シミュレーションで再現し、このプロセスが衛星環境や衛星本体に与える影響を定量的に把握する。

(5) 宇宙電波応用
 宇宙空間中には、大小様々な大きさの物体が浮遊しており、人工物は宇宙デブリ、自然物質は宇宙ダストと呼ばれる。これらの位置や速度、分布をレーダーにより把握するために、宇宙デブリやダストからの散乱電波が利用される。一方で、宇宙デブリやダストは宇宙空間中では帯電するため、その表面は荷電粒子層が形成される場合がある。本研究では、このような宇宙デブリや宇宙ダストのレーダー電波散乱現象を計算機シミュレーションで再現し、地上との現象の違いを明らかにする。

*これらの人工衛星環境に関するシミュレーション研究は、宇宙空間での人類活動や宇宙利用において重要な基礎データとなりうるため、それぞれの物理現象プロセスの理解のみならず、工学的観点からの理解も重要である。

*2024年度卒論テーマ(予定)
 ③科学衛星搭載用電界センサーの低周波域電気特性に関するシミュレーション研究
 ④宇宙機推進用イオンビームの電気中和過程とその測定技術に関するシミュレーション研究
 ⑤荷電粒子層に覆われた宇宙デブリの電波散乱現象のシミュレーション研究

宇宙環境研究のための数値解析技術の開発および高度化開く

以上の計算機シミュレーション研究を進めるためには、解析に用いる数値シミュレータ(EMSESなど)の動作原理について、基本的な理解が必要である。研究室配属後は、電磁界シミュレーションや粒子軌道解析、その並列化について学習を進める。またこの段階で数値ツールそのものに興味を持った者は、宇宙環境研究のための数値解析技術の開発および高度化を卒業研究のテーマとすることも可能である。計算機シミュレーション研究の精密化・大規模化に伴い、シミュレータの高精度化および高速化、新規のポスト処理・データ解析技術の開発が必要である。これらを実現するべく、プログラム開発とその検証評価を実施する。これらの研究を担当する者は、開発手法の月・惑星・人工衛星環境シミュレーション解析研究における必要性を事前に理解しておく必要があるため、シミュレーション解析研究担当者と緊密に連携しながら研究を進める。

・宇宙環境シミュレーターの高性能化・高機能化(並列化、解析ツール開発)
・機械学習を活用した新しい宇宙環境研究手法の開発
・最先端の数値アルゴリズム開発(低ノイズ計算技法、陰解法etc.)

*2024年度卒論テーマ(予定)
 ⑥科学衛星観測データと互換性を有するプラズマシミュレーションデータ可視化手法の開発
 …および②~⑤の研究推進に必要な数値プログラム開発

本研究に限らず、上に述べた宇宙環境に関する研究テーマは、国内外の惑星科学分野の研究者とのやり取りを行うため、国際的な場での議論や発表が必須となります。数値シミュレーションの実行、解析、物理解釈のみならず英語での議論や発表の機会もあります。国際的に活躍してみたい学生を歓迎します。(もちろん、初めはうまくいかなくても全然平気です。)


研究環境


本研究室では、学生間の交流を大切にしているため、学生居室は左下の写真のようなレイアウトにしています。ここで日々、学生同士で研究に関する情報交換等を行っています。右下のセミナー室では、先生方とのミーティングなどを行います。
基本的に自分のパソコンからスパコンへアクセスして作業をしますが、研究室にあるデュアルモニターのパソコンでも作業することができます。
京都大学に設置されている先端電波科学計算機実験装置(A-KDK)や、神戸大学計算科学教育センターに設置されているπ-computerなど、様々なスパコンを使用できます。





研究生活の流れ


4月に研究室配属されてから6月までは、それぞれ論文または教科書を紹介しあうことで、研究内容の知識を深めます。いわゆる基礎勉強ですね。加えて、差分法といった計算機シミュレーション手法の基礎も学びます。
6月ごろからは本格的に院試勉強に専念します。 院試が終わると、卒論執筆に向けて本格的に研究を始めます。
また、英語でのシミュレーションワークショップなど、ノルウェーオスロ大学との共同プロジェクトにはB4も参加します。



1~2週に一度は学生と教員の個人ミーティングがあり、さらに月に一回は研究室の全体ミーティングがあります。全体ミーティングの後は学生も教員もみんな一息ついてお菓子や飲み物を楽しんでいます。新入生歓迎会などのイベントも随時開催します。

過去の就職先


先輩方の主な就職先を列挙します。情報系に限らずさまざまな会社へ皆さん就職しています。
Panasonic、ヤフー、任天堂、ソニーモバイル、住友電工、JR西日本、三菱電機、三菱重工、川崎重工、凸版印刷、関西電力、中国電力、阪神高速、コーエーテクモ、ニコン、トヨタ、神戸市職員、明石市職員、NTTドコモ、新日鉄住金ソリューションズ、日立製作所、NTT西日本、NTTデータ関西、東京海上日動、富士通、エムオーテックス


Q&A


Q: コアタイムは?
A: 特にコアタイムはありませんが、できるだけ研究室に来て下さい。
1~2週に一度のペースでミーティングや勉強会があるので、そこで研究の進み具合や研究方法などで困ったことなどを先生や先輩たちと議論します。


Q: 学会発表は?
A: 個人の努力しだいです。自分の取り組む研究で成果が出れば、国内・国外問わず学会で発表する機会が与えられます。
コロナ禍が明けて、ノルウェーオスロ大学との共同研究・教育プロジェクトが再開しました。M2になると実際にオスロに行き、現地でワークショップに参加することができます。


Q: 研究室イベントは?
いろいろあります。2023年度は、
4月  新歓コンパ
6月  オスロ神戸ワークショップ in 神戸
9月  オスロ神戸ワークショップ in オスロ
10月  留学生歓迎会
などなど・・・。そのほかにも各種打ち上げや、突発的な飲み会、交流会などがあります。

ワークショップ

ワークショップの様子

ワークショップ後のホームパーティ

フランス観光

リンク[写真をもっと見る]

このようにいろいろなイベントをしています。イベント企画も大歓迎です!


Q: どのような言語を用いてプログラムを開発していますか?
A: 研究で用いる基幹プログラムはFortranとC言語で書かれています。また最近ではPythonでのプログラム開発も増えています。プログラムに対する意欲やプログラミング的な思考は必要ですが、これまで言語の使用経験が無くても問題ありません。使って、失敗して、悩んで、改善していくことが習得する一番の早道です。


Q: 宇宙に関する知識は必要ですか?
A: 心配しなくても大丈夫です!前期の初めに輪講があり、そこで宇宙やプラズマについての重要な知識を学ぶことができます。学びたい!という意欲のある方を募集しています!


Q:研究室になじめるか不安です・・・
A: 心配しなくても大丈夫です!!!!! 一度、研究室に遊びに来てください! フレンドリーな先輩や、先生方がいろいろ教えてくれますよ。外国の方と交流する機会もあるので、英語の勉強もできます。あなたが研究室にくるのを、心優しい先輩たちが心待ちにしております!!



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