神戸大学 大学院理学研究科 惑星学専攻

水惑星進化学教育研究分野


トップ
ニュース
研究
セミナー
メンバー
リンク

研究


 今から45.7億年前に誕生した地球は、太陽系惑星でたった1つの「水惑星」です。そして液体の水の存在は、 地球の進化に決定的な影響を与えてきました。「生命の星」でもある地球で一等最初の生命は、 今から約38〜35億年前に、原始海洋で熱水が湧き出す場所で誕生したと言われています。つまり、水が なければ生命は生まれなかったのです。また、同じ地球型惑星である金星や火星の大気に比べて圧倒的 に二酸化炭素に乏しい地球の大気は、生物による光合成に加えて、二酸化炭素が海水に溶け込み炭酸塩として 岩石に固定された結果です。

 ところで、地球の水の多くは低地に溜まって海を作っています。洋々と広がる海、そしてそそり立つ山々。 私たちはこのような凸凹した景色に慣れっこになっていますが、実はこれは、地球特有の地形なのです。他の 地球型惑星(水星・金星・火星)の表面は、地球に比べるとずっとのっぺりしているのです。もしこんなにのっぺりした 惑星に水がある程度存在すれば、その表面は完全に海で覆われてしまうに違いありません。つまり地球は、 水惑星であると同時に「陸惑星」でもあるのです。ではなぜ地球表面は凸凹しているのでしょう? それは、 地球だけでプレートテクトニクスが作動して、2種類の密度の違う地殻が作られていることに原因があります。 でも、なぜ2種類の地殻ができるのかは、まだよくわかっていません。それにもっと言うならば、そもそも水が 存在することで地表を覆う硬い「蓋(ふた)」が破れやすくなったことが、プレートテクトニクスの作動する要因と なった可能性もあります。さらには、何故地球にだけ水があり、しかも、水と陸の共存をもたらすのに「ちょうどいい」 量になったのか、という問題もあります。

 私たちの分野は、こんな水惑星が太陽系の中でどのようにして誕生し、どのように進化してきたのかを考えて いる人たちの集まりです。もちろん、研究の対象も方法もいろいろです。例えば巽は、結構おしゃべりな「石ころ」の 呟きに耳を傾けて、水惑星進化の秘密を聞き出そうとしています。その時の擽り方は、野外調査に化学分析、 それに高圧実験です。牧野は、コンピュータシミュレーションをつかって微惑星や惑星ができる過程を明らかに しようとしています。中村は、石や氷の「ちり」がくっついたり壊れたりしながら微惑星ができていく様子を、 衝突実験や探査データを使ってあぶり出そうとしています。そして私たちの共通の関心は、この水がいったい どこからやってきたのか?ということです。