家庭用空調室外機の,典型的な設置状態です.この場合は,ベランダに設置されています.このような家庭用空調機の場合は重量も軽く加振力も大きくないため,防振などの処理はあまり必要ではありません.特に,この例のように直下が居室でない場合,まず防振処理はされません.この例では,プラスチック樹脂性の軽い架台の上に設置されていますが,この架台は多少は振動伝達を押さえる上で(コンクリートブロックのような硬いものよりは)効果があるかも知れません.
上の写真と同程度の空調室外機ですが,この場合は直下に室があります.全く防振処理などせずに,コンクリートの台にねじで直止めしていますが,下階の室が静穏性を要する場合は,防振ゴムくらいの処理はした方が無難でしょう.
これは神戸大学環境心理実験室屋上の,室外機です.建物の屋上に設置されていますが,建物内に静穏性を要する研究室や,特に音響実験を行なう無響室があるため,屋上スラブに振動が伝達されると固体音が問題となります.この室外機は,防振架台の上に設置され,そこから出る配管類の支持台も防振ゴムを敷いた上に置かれています.
上の室外機の架台部分です.コンクリートの台の上のフレームは丈夫なスチールでできており,カバーをかぶせた鋼コイルバネで支持されています.この防振台の上下で,簡易振動計で振動加速度を測定してみたところ,数dBの減衰が得られているようです.
機械室内に設置された,室内パッケージです.こちらも相当重量があり,前述と同様のコイルバネを用いた防振架台に設置されています.ここでは,10dB以上の減衰が得られているようです.
前述のパッケージから出ている配管です.機械の振動がダクト系に伝わらないように,カンバスダクト(カンバス地の布で作ったダクト)が用いられています.カンバスダクトの右側にある扉の付いた箱は,内張りチャンバと呼ばれ,ダクト系の断面積を急激に変化することによる減衰効果を得るためのものです.
内張りチャンバの扉を開いたところ.内部は,(少し見にくいですが)吸音材が張ってあります.
天井からダクトが吊り下げられていますが,防振吊り具が使用され,ダクト自体の振動が建物躯体に伝わらないよう,配慮されています.