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研究室配属を控えた学生へ

研究への取り組み

メゾスコピック材料学研究室では、高度な研究設備を使った実験研究とコンピューターシミュレーションによる解析を組み合わせて、新機能性ナノ材料の開発を行います。最先端の研究設備の原理を完全に理解したうえで、最高の性能を発揮する状態で使いこなすためには、長期間のトレーニングが必要です。そのため、研究室配属直後は、上級生がメンターとなり、小さな研究テーマを責任を持って完遂することを目標とします。通常その過程で、2,3の研究設備を使いこなすようになります。その次のステップでは、ある程度独立した状態で、もう少し大きい、応用を見据えた研究テーマに取り組みます。この段階ではより多くの研究設備を使いこなす必要があるため、個人としてのスキルアップが不可欠です。研究で成果を挙げるためには、できるだけ多くの人と議論し、課題や問題点に多方面から取り組むことが不可欠です。そのため、研究室の全学生は2週間ごとに研究発表を行い、研究室の全員が進捗状況と課題を共有します。最先端の研究を行うためには、常に最新の研究論文を精読し続ける必要があります。研究論文はすべて英語で書かれているため、日常的に英語論文を読む習慣を早期に身に着けることが非常に重要です。一般に、研究成果を論文にまとめるためには、少なくとも50~100編の関連論文を精読する必要があります。当研究室では、学生が関連分野の最先端の論文を紹介する雑誌会を毎日行っています。以上の各ステップをこなすことにより、将来エンジニアや研究者(企業や研究機関問わず)として働くうえで必要なスキルを身に着けることができます。  

研究成果の発表

研究室の学生は、応用物理学会(参加者4000-6000人)で研究発表をすることを最初の目標とします。その次の目標は、学術論文を執筆する事です。ここでいう学術論文とは、Clarivate Analytics社のWeb of Science (WOS) Core Collectionに登録された論文誌に掲載される論文であり、当研究室ではそれ以外の論文誌には論文を発表しません。これは、WOSに登録された論文誌は世界中で購読されており、関連分野の研究者の目に留まる可能性が高いからです。WOSに登録された論文誌にはImpact Factorという数字がついています。これは、それぞれの論文誌に掲載された論文が他の論文によって平均何回引用されたかを示す指標であり、一般に数字が大きいほど「良い」論文誌であると考えられています。当研究室では、高いレベルの研究成果を高Impact Factor論文誌に発表することを目標としています。一般に、修士課程の学生の学生が高Impact Factor論文誌に第一著者として論文を発表することは極めて困難です。しかしながら、当研究室では、修士学生が非常にImpact Factorの高い論文誌(IF>10)に第一著者として論文を発表した例もあり、多くの学生が高Impact Factor論文誌に第一著者として論文を発表しています。尚、当研究室で過去に発表したWOS論文のリストは、publons及び研究室ホームページでみることができます。論文を発表できるレベルの成果を出した学生は、国際会議で発表する機会も多くあります。そのためには、自身の研究に関する深い理解と、研究について流暢に説明できる高い英語力が不可欠です。      

研究環境

当研究室は、充実した研究設備を有しています。物理的手法によるナノ材料生成・化学的手法によるナノ材料生成に必要な設備群、フォトリソグラフィー等の電子デバイス形成設備、透過型電子顕微鏡・走査型電子顕微鏡・原子間力顕微鏡等のナノ材料観察評価設備、顕微分光測定・発光スペクトル測定・発光励起スペクトル測定・ラマン散乱測定・拡散反射測定・赤外吸収測定等の光学測定設備、電流電圧特性・インピーダンス測定・容量測定等の電気計測設備等が、すべて30秒以内にアクセスできる場所にあります。研究環境は非常に恵まれており、効率よく研究を進めることが可能な環境になっています。また、学生がこれだけ多種多様な装置に直接アクセスできる研究室は少ないと思います。これらの研究室所有の設備に加えて、神戸大学研究基盤センターの走査透過型電子顕微鏡、電解放出形走査型電子顕微鏡、光電子分光、分光エリプソメトリー等を使って研究を行っています。研究室のすべての装置は、研究室見学で見たり触ったりすることができます。  

共同研究

当研究室は、海外の研究グループと多数の共同研究を行っており、国際共著論文を多数発表しています。研究室の学生(特に博士課程の学生)は、共同研究先を訪問したり、長期間(~1年)滞在して共同研究したりする機会があります。そのためには、自分自身の研究に関する深い理解と、研究について流暢に説明できる高い英語力が不可欠です。以下に、これまでに共同研究を行った海外の研究機関を列挙します。スタンフォード大学、ボストン大学、イリノイ大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、アイオワ州立大学、National Renewable Energy Laboratory(以上、USA)、マンチェスター大学、バース大学(以上、UK)、ミュンヘン工科大学、フライブルク大学(以上、ドイツ)、アムステルダム大学(オランダ)、リヨン大学(フランス)、スウェーデン王立工科大学(スウェーデン)、カレル大学(チェコ)、ワルシャワ工科大学(ポーランド)、Wigner Research Centre for Physics HAS(ハンガリー)、モスクワ大学、Ioffe Physico-Technical Institute RAS、A.M. Prokhorov General Physics Institute RAS(以上、ロシア)、The Hebrew University of Jerusalem(イスラエル)、シドニー大学、ニューサウスウエールズ大学(以上、オーストラリア)

研究室生活

当研究室は、全学生が同じ部屋で研究を行っています。また、教員居室も10秒以内にアクセスできるところにあります。そのため、常に速やかな意思疎通が可能な環境となっています。学生の居室にはコモンスペースがあり、日常的に研究打ち合わせを行うだけではなく、コーヒーを飲んでくつろいだり、飲み会を開催したりしています。特に、論文が学術雑誌に掲載されたり、研究室メンバーが表彰されたりした場合は、コモンスペースでお祝いのパーティーを開きます。当研究室は、文武両道をモットーとしており、スポーツを推奨しています。研究室学生が企画し、月に1回位程度フットサルやバスケットバールを行っています。以前は、毎週ランニングを行っていました。

卒業・修了後の進路

修士課程修了の状況では、就職先は研究室にあまり依存しません。当研究室の卒業生では、電機機器メーカー・電子部品メーカーへの就職が比較的多いですが、重工、自動車、情報通信、インフラ等への就職も珍しくありません。当研究室は、電気電子工学専攻の中では博士課程進学者が比較的多い研究室です。また、博士課程において日本学術振興会特別研究員(月額20万円)に採用された人数はもかなり多いです。博士課程進学後は、アカデミアに進むか民間企業へ就職するかのいずれかになりますが、博士課程進学が民間企業就職に悪影響を及ぼすことはありません。ここ数年の博士後期課程修了者の進路として、アカデミアと民間企業の双方の実績があります。

 

Contact:
Prof. Minoru FUJII
Department of Electrical and Electronic Engineering, Graduate School of Engineering, Kobe University

Rokkodai, Nada, Kobe 657-8501, Japan

fujii@eedept.kobe-u.ac.jp