小論文講評
対象論文「1つの空間での複数の集団による一時的領域形成
            〜神戸大学工学部食堂を事例として〜」
発表者 本郷裕子
講評者 1稲地秀介 2橋尾聡一


■どのような研究か
神戸大学工学部食堂の複数のテーブルを対象とし、6人掛けの1テーブルの11時30分から13時までの使われ方を調査している。

■どのような価値や意義があるか
複数のテーブルについて、昼のピーク時にかけての領域の変化が示されている。1人と2人の集団が多く、様々な領域が同時に存在することが良く分かる。
6人の集団が1テーブルを占領することは稀(1/ 88事例)にしか見られない中で、6人掛けのテーブルである必要があるのか、という問題を具体的に示す事が出来ている。

■感想
6人掛けであるために、よく回転しているように読み取れた。ピークを迎える前には、1人組の集団が6人掛けテーブルの対角線上に座る事で、互いにある距離感を保てている。
たしかに、2人組が2グループ存在している場合には、2人分の席が空く事になってしまうが、4人掛けや2人掛けのテーブルを配置すれば解決できるという簡単なものではないと思う。
2人組でも4人掛けに座るはずである。結果、2人分の空席が発生してしまうのではないか。
同じような空間を持つ食堂の調査と比較できるとより一般的になり、説得力が持てるのではないか。

本論分で、実際に起こる一時的な領域形成の過程が掴めるので有意義である。
(評者/橋尾聡一)