コラム

発想を変えれば身近な道具も楽器になる!

2020年3月26日(木)

ヴァイオリニストの佐原敦子(サハラ)です、宜しくお願いします。

2月28日にアンサンブル・ノマド(以下、ノマド)定期演奏会に参加しました。「アンサンブル」はフランス語の音楽用語で、2人以上が同時に演奏することです。

ノマドは、NOMAD(遊牧、漂流)の名にふさわしく時代やジャンルを超えた幅広いレパートリーを自在に採り上げ、斬新且つ独自の世界を表現するアンサンブルです。

ノマド音楽監督の佐藤紀雄さんは、 「各々選りすぐりの作品とゲストで行われるが、各プログラムは創造の実験場のようなもので、どんな化学反応を起こすのかわからない。かすかな怯えを伴うこの実験には、試される価値があるものばかりだと自負している。」 とすごいことを言っています。

今回の演奏会のテーマは「〜出会いの共振〜」。 事前にいただいた楽譜を見ても、ちんぷんかんぷん。 どんな実験台にされるのかドキドキものでした。

松平頼暁先生の作品「アーティクル9」の出番になった私は、普段演奏で絶対に使わない物を大量に抱えていました。

ヴァイオリン



ミニ扇風機

ノコギリ

風船

楽譜

「舞台に6つの道具を持ってくなんて、初めて!」でした。

ノコギリは、側面を弓で弾いて、ホワワワンと効果的な音を。 風船は、手で擦ってギュギュギュ〜とノイズ音を。 ミニ扇風機では、プロペラ側のカバーを取って、プロペラを直接弦に当てて、グゴゴゴ〜凄まじい音を。 その他にも弓で弦や顎当ての部分を叩いたり、ボディをノックしたり平手打ちしたりと、とても斬新な作品でした。

現代曲を演奏する際、時に、「その奏法は楽器が傷ついてしまう!」と、作曲家VS演奏家になることもあります。

クラシック音楽も現代曲も、楽譜に忠実な演奏をする点では同じです。大きな違いは「過去を演奏する」か「現代を演奏するか」です。

そして、現代に生きている私たち。 今、生み出される作品を音にする。 普段知らなかった角度の現代曲、やっぱり面白いです。

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  • 佐原 敦子

    東京藝術大学非常勤講師、感性と論理をつなぐアーティスト