EMPATHY
共感の獲得

イノベーションはレールが敷かれてルールも決まっている既存事業とは異なります。「このアイデアは成功するかどうか分からないが、やるべきだ」という共感を多くの人から得なければなりません。ただ、理論を使って説明すれば周囲の共感を得られるわけではありません。哲学者のアリストテレスは2,300年以上も前から、「人を説得するには、エトス(信頼)、パトス(共感)、ロゴス(理論)の三要素が必要だ」と述べています。しかも、「理論よりも信頼・共感の方が重要だ」と付け加えています。

ICEモデルにおけるEMPATHYの位置付け

イノベーションリーダーにとって周囲の共感を得ることは極めて重要な能力です。成功するかよく分からない課題を解決するためには、多くの人を巻き込み、「この人に協力したい」という思って貰わなければなりません。

仲間から共感を得る

  • 上司の指名よりも自発的な参加意思表示をする人材を好む
  • プロジェクト開始前から時間をかけて人選する
  • 予算・残業代がない段階からメンバーを募る
  • 社命ではなく自発的な人材を好む
  • 社内スポンサー向けのシンプルなメッセージを作る
  • スカンクワーク、闇研を活用する

アビー・グリフィンら(2014)「シリアル・イノベーター:『非シリコンバレー型』イノベーションの流儀」プレジデント社を基に作成

イノベーションリーダーが周囲の共感を得る方法はひとつでなく、絶対的な正解もありません。時間をかけて自分に合うベストな方法を模索するしかありません。様々なポジションの人をイノベーションリーダーは説得して回り、協力者になってもらいます。こういった活動には明確な業務命令が伴わないことが多い。また、説得を試みても、規定や前例などを杓子定規に考える人は概ね共感してくれません。イノベーションリーダーには共感者となる人を嗅ぎ分けるセンスが求められます。

ビジネス理論以外の方法で共感を得る

事業アイデアは論理的でなければなりません。ところが、感性に訴えるなど論理以外の方法を駆使しなければ共感は得られません。元々は感性に訴えるユニークな説得手法でも、使い続けて陳腐になってしまえば有効ではありません。我々は「ビジネス理論以外の方法」を広範に探索して活用し、共感を得る新しい方法を構築しています。