組織を動かす
イノベーションリーダー

自社のイノベーション力を向上させるために、社員からアイデアを募るだけで満足していると、経営者は本質を見誤ります。アイデアを提案するだけでなく、同じ人が長期戦で経営層を説得しなければ、有望なアイデアも潰れてしまいます。このような組織的「ボトルネック」を解消する人材が「イノベーションリーダー」です。イノベーションリーダーは期限や予算が決まっている事業をリードする官僚的な人材と異なります。

イノベーションリーダーの役割

  • 社内外の「アイデア」の価値を理解し、
    「事業化フェーズ」に移行させる戦略を練ること
  • 社内外の起業家をサポートし、彼らを鼓舞すること
  • 成果が出ない案件を「潰せ」という社内意見に抵抗して、
    案件の延命を図ること
  • 案件の進捗状況を経営層に説明し、将来的な価値を説得し、
    事業化予算獲得の道筋を立てること

出典:神戸大学オープンイノベーション人材センター

イノベーションリーダーの役割は多岐にわたります。アイデアに惚れることは勿論、「できない理由」を列挙して新規事業に反対する人と戦わなければなりません。起業家的な情熱と組織を動かすスキルの双方がイノベーションリーダーに求められます。

イノベーションリーダーの関与

出典:神戸大学オープンイノベーション人材センター

「組織は人材を常識化する装置」と表現する人がいます。多くの若者が「自分がこの会社を変えるんだ」という夢と情熱を持って入社します。ところが、時間が経つと、尖った人も凡庸な中堅社員になってしまう。凡庸な人ばかりになった企業は新しいものを生む力が衰えます。イノベーションリーダーの関与によって情熱や夢を秘めた社員に活躍の場を与えることが期待できます。

人材ごとに異なるスキルセット

*プロジェクト:目的、予算、期限などが決まっている事業を指す。それらの要素が決まっていない新規事業とは異なる
*アビー・グリフィンら(2014)「シリアル・イノベーター: 『非シリコンバレー型』イノベーションの流儀」プレジデント社に着想を得て作成

企業には様々な役割を持つ人材がいます。既存事業も新規事業も異なるスキルセットを備えた人材の協力によって成り立っています。経営者は人材の適材適所と育成を常に考えなければなりません。イノベーションリーダーには他の種類の人材と異なる広範なスキルが必要です。