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地熱バイナリ発電用蒸発器の高性能化に関する研究 −溶射被膜によるプール沸騰伝熱促進−

目的

 地熱バイナリ発電では,作動流体の蒸発器にケトル型リボイラが用いられている.発電効率の向上のためには,熱源温度と蒸発温度の温度差を低減し,蒸発圧力の上昇が必要であり,沸騰伝熱促進が求められる. 一方,沸騰遅れがあれば,過熱液層が厚くなり,沸騰気泡が大きく成長し,不均質な流動場となる恐れがある.その場合,自由界面からの大気泡の排出時に蒸気流への液滴飛散が発生し,蒸気タービンの不具合につながる恐れがある. そこで,速やかな沸騰と均質な流れ場,そして沸騰伝熱促進が求められる.
 本研究では,伝熱面への溶射加工による沸騰開始壁面過熱度の低減,沸騰核密度増大による沸騰熱伝達促進,そして小気泡群による均質な沸騰流動場の形成を目的とする.一方,高GWP冷媒からの転換を目指し,HFO系冷媒での沸騰伝熱性能を評価する.

 

研究内容

 

 水平円管周りプール沸騰を対象とする.伝熱管は実機で使用される超硬ステンレス鋼管とし,実用に合わせて温水加熱とする.これは,沸騰開始時の加熱履歴効果を評価するためである.ステンレス鋼管の外表面には製作方法,溶射材が異なる数種の溶射被膜を形成した.
 HFC-245faとHFO-1233zd(E)のプール沸騰実験を行い,沸騰熱伝達性能に及ぼす冷媒物性の影響,特に,溶射被膜による伝熱促進効果への影響を評価する.右図は,溶射被膜管の沸騰様相であるが,伝熱面から多数の小気泡が均一に形成されている様子がわかる.


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