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研究分野SERVICE&PRODUCTS


研究内容

固体高分子形燃料電池

    

固体高分子形燃料電池の水輸送と電気化学特性の解明

  固体高分子形燃料電池 (PEFC) は,100℃以下の比較的低温で動作可能であるという特徴から,自動車や家庭用コジェネレーションシステムへの利用が進められている. 発電反応過程で生成される水は,電解質膜の湿潤性を保つ役割を担う一方,多孔質体であるガス拡散層や流路に液水が滞留することで,ガス供給の妨げとなることから,水管理が重要とされる.
 本研究では,中性子ラジオグラフィを用いることで発電時の水分布を計測し,電気特性との相関を評価している.それらの結果を数値解析に反映させることで,物質輸送と発電性能の関係の解明を進めている.

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地熱バイナリ発電用蒸発器の高性能化に関する研究

水平管群内沸騰熱伝達

 水平管群による沸騰では,上流の伝熱管での沸騰で生成された気泡が管群内を流動する際に液を攪拌するため,管群の下流部では伝熱が促進される.沸騰伝熱促進によって小さな気泡が一様に形成されれば,その効果は強くなると期待できる.
 そこで,本研究では,平滑管群の気泡撹拌効果増大を目的とし,管群上流に部分的に溶射被膜を有する沸騰伝熱促進管を配置し,熱伝達率に及ぼす影響を実験的に評価するとともに,管群内の気泡流動と熱伝達特性の相関について考察している.

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管群内のボイド率分布と熱伝達特性

 水平管群内の二相流動は,管径,管ピッチ,管の配列などの形状パラメータにより変化する.さらに管回りの液相は,気泡の流動に伴う攪拌効果によって管群の熱伝達率は促進されることから,二相流動と熱伝達の相関を評価する必要がある.
 そこで本研究では,水平管群内垂直上昇流の気泡の流動挙動に注目し,低クオリティ条件下での空気―水二相流において,管配列とピッチ直径比の異なる管群試験部におけるボイド率分布,管周り熱伝達率分布を計測し,管群内の熱伝達特性に及ぼすボイド分布の影響を評価している.

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溶射被膜によるプール沸騰伝熱促進

地熱バイナリ発電に用いられるケトル型リボイラでは沸騰伝熱促進とともに伝熱面からの均一な気泡生成が求められる.また,現在多く利用されているR245faなどのHFC系冷媒は,地球温暖化係数(GWP)が高いため,代替冷媒としてR1233zd(E)などのHFO系冷媒の使用が検討されている.
 本研究では実機で用いられるステンレス鋼管に溶射被膜を施し,その伝熱促進効果について,HFCおよびHFO系冷媒の実験を行い,冷媒物性の影響を評価している.

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二相流の流動評価

宇宙構造物用二相流体ループ式熱制御システムの開発 −国際宇宙ステーションでの沸騰二相流実験−

 宇宙構造物の電子・電力機器の発熱量および発熱密度の増大や熱輸送距離の長大化に対応するため,二相流体ループ式熱制御システムの適用が検討されている. このシステムは,冷媒の蒸発潜熱により除熱熱流束が高く,飽和状態であるので圧力による温度制御が可能であるが,その実現のためには,浮力が消失する微小重力場における沸騰や凝縮を伴う気液二相流の流動特性を解明する必要がある.
 本研究では,JAXAプロジェクトとして国際宇宙ステーション (ISS) の日本実験棟「きぼう」の長時間安定した微小重力環境において沸騰二相流実験を行い,気液界面構造を観察した.その結果,地上場では見られない, 気泡が合体することなく密集して流れる流動が観察された.現在,その流動構造を詳細に分析し,通常重力場での流れとの相違の解明を目指している.

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液体金属二相流の流動評価

 液体金属気液二相流は,水−蒸気二相流に比べ気液密度比および表面張力が大きく,既存の二相流動モデルの適用性評価については,さらなる実験的解明が必要である.更に磁場が印加された液体金属中を気泡が流動する場合,磁場が乱流や気泡後流を抑制し,気泡の相互作用,ボイド分布などに強い影響が生じるが,実験の困難さから十分な実験データが得られていない.
 本研究では,超音波トモグラフィ,ラジオグラフィなどの計測手法を用いて,液体金属内の気泡流動に関する研究を行っている.

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異形ミニチャネル内気液二相流のボイド率特性に関する研究
(正方形および正三角形管内気液二相流)

 冷凍空調機器で用いられる熱交換器は伝熱面積の体積密度の増大による高性能化のため流路の細径化が求められている.管内径が小さくなれば,表面張力の影響が重力に対して相対的大きくなると考えられる. 特に,流路断面が非円形となれば,表面張力によって角部に液が集まり液膜構造が円管と大きく異なるであろう.凝縮流の場合,薄液膜部の存在で熱伝達率が向上するとの報告もあるが,断面における液の面積割合,すなわちボイド率を計測した例は見られない.
 本研究では,内径1 mm もしくは2 mmの正方形及び正三角形流路に対し,作動流体にFC-72を用いて一成分系気液二相流実験を行い,気液界面構造,ボイド率特性に及ぼす管形状,管径及び流動方向の影響を評価する.

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熱交換器の熱流動特性の評価

プレートフィン熱交換器内冷媒流れの熱流動特性に関する研究

 本研究は,排熱回収を目的としたプレートフィン蒸発器を対象としている.プレートフィン熱交換器は幅広扁平流路の積層で構成されるが,その熱交換性能は蒸発二相流の熱流動特性に依存する. 局所熱流束は流体間温度差に依存するため,加熱温水の流動方向の影響を評価することも重要である.そこで単層熱交換器を対象とし,冷媒垂直上昇沸騰流実験を行い,温水流動方向および冷媒熱物性の熱流動特性に及ぼす影響を評価している. 実験では,温水流路壁の温度分布をIRカメラで,冷媒流動については断熱壁を透明ポリカーボネート樹脂版で置換して高速度カメラで可視化計測している.右図が温水流路壁の温度分布であるが,大きな熱流束分布が存在することが推察される.

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ミニチャネル直交型蒸発器内の冷媒流れの可視化とボイド率計測

 低炭素社会の実現にむけて熱交換器の高性能化が必要とされている.コンパクト化の観点からも伝熱面積密度の増大が有効であり,拡散接合で製造されたマイクロチャネル熱交換器の蒸発器への適用が検討されている. この熱交換器では,蒸発流と加熱媒体の流路が直交しているため,熱流束分布が一様にならず,この不均一熱流束分布が蒸発流の偏流を引き起こす恐れがある. そこで,本研究では,ミニチャネル直交型蒸発器を対象としてHFC-134aの沸騰熱伝達実験を行い,中性子ラジオグラフィや高速度カメラで内部流動の観察を行うとともに,時間平均ボイド率分布を計測し,現象解明を進めている.さらに,蒸発流路のリブ形状の操作で相分布の均一化を図っている.

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自励振動ヒートパイプの熱輸送特性に関する研究

 自励振動ヒートパイプは,細い流路が平板内を蛇行する形状で,加熱と冷却を何度も繰り返すヒートパイプである. 従来のヒートパイプが液相の駆動力に毛細管現象を利用するのに対し,自励振動ヒートパイプでは高温部と冷却部の圧力差によって作動流体が自励振動を起こし,熱を高温部から低温部へと輸送することができる. そのため,自励振動ヒートパイプでは顕熱輸送と潜熱輸送を同時に行うことができ,従来のヒートパイプより熱輸送能力があると考えられている.  本研究では,自励振動ヒートパイプに着目し,可視化可能な試験部を使用し,気液分布が始動特性に与える影響を評価している.

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沸騰伝熱促進

水平狭隘流路内サブクール沸騰熱伝達における伝熱面表面構造の影響に関する研究

 サブクール沸騰二相流の気泡の発生や挙動は沸騰や凝縮などの要素からなる複雑な現象であり,その熱伝達特性の把握にはさらなる実験的解明が必要である.核沸騰熱伝達を向上させるためには沸騰核密度を増大させることが必要であるが, 伝熱面近傍での蒸気発生量が大きくなり,気泡合体により膜沸騰遷移を起こし限界熱流束が低下する恐れがある.
 本研究では,平滑面および沸騰伝熱促進面として溶射面を用いて熱伝達特性および気液界面挙動を評価することを目的とする.

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流下液膜蒸発熱伝達の促進

 地球温暖化係数が高いフロン系冷媒の使用量削減のため,伝熱管を液に浸す満液式蒸発器から管の表面に液膜を流下,蒸発させる流下液膜式蒸発器への置換が検討されている.流下液膜では,低液膜流量で液膜が薄い場合,蒸発熱伝達となるため,管壁が乾かないよう液を保持する必要がある.一方,高液膜流量で液膜が厚くなると,液膜内で核沸騰が発生するため,沸騰核が形成される壁面過熱度の低減と,液膜内からの蒸気泡の離脱に伴う液滴飛散を抑える必要がある.
 本研究では,これらの要求を満たす伝熱面として溶射加工によるマイクロスケールの多孔質構造を提案し,様々な冷媒に対して実験的に熱伝達特性の評価,現象解明を行っている.

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ナノ流体の沸騰伝熱促進

  流体にナノ粒子を懸濁させることで,条件により沸騰伝熱促進が可能であることが知られている.ナノ流体とは作動流体にナノオーダーの粒子を懸濁させたものである. これは,ナノ粒子による流体物性への影響や,伝熱面表面におけるナノ粒子の堆積による影響と言われているが,最適な粒子濃度や粒子径など,そのメカニズムについては明確になっていない.
 本研究では,水にナノ粒子を懸濁させたナノ流体においてプール沸騰実験を行い,沸騰伝熱特性に関する研究を行っている.さらに伝熱促進の能動的な制御方法について取り組んでいる.

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凝縮熱伝達

ヒートポンプ給湯機用四葉伝熱管内凝縮熱伝達に関する研究

 ヒートポンプ給湯システムで高沸点冷媒を使用する場合には,凝縮器が水加熱器として用いられるが,伝熱性能向上のため断面異形管が用いられる場合が多い. その一つに断面を四葉の形状に変形させた四葉伝熱管がある.四葉伝熱管では同径の円管に対する拡大伝熱面積効果に加え,熱抵抗となる凝縮液を表面張力によって隅部に集め,辺部で液膜を薄膜化することによる凝縮伝熱促進効果が期待できる. 本研究ではヒートポンプへの適用を想定した凝縮熱伝達実験を行い,伝熱管内部流動が熱伝達や圧力損失に与える影響の解明をすすめている.さらには一流路を模擬した三角形流路を対象として凝縮熱伝達性能とボイド率特性を評価している.

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スラリー流の熱流動特性

非ニュートンスラリー流の熱流動特性に関する研究

 工場からの排熱などを地域で共有することは一次エネルギー消費量の削減に有効であるが,温度低下なく高エネルギー密度での熱輸送が必要である.相変化物質(PCM : Phase change material)を硬殻カプセルに封入し,流体中に分散させたPCMスラリーが提案されている. PCMスラリーを用いた熱輸送の実現には,加熱時,放熱時での熱交換特性の解明が求められる.
 本研究の目的は,硬殻カプセルを混入したスラリーの熱流動特性を解明することである.硬殻カプセルを分散させるため界面活性剤を添加しており,非ニュートン性を示す.実験では,円管内非ニュートンスラリー流について,加熱時の伝熱特性,圧力損失特性を実験的に評価する.

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超音波流体計測技術

超音波トモグラフィ法の開発

 不透明流体である液体金属内の気泡流動を計測することを目的に,超音波トモグラフィ法の開発を行っている.
過渡的な気泡流動の変化を評価するためには,一断面の計測に要する時間を可能な限り短くする必要がある.そこで本研究では,広角超音波センサおよび反射法を用いたトモグラフィ法を開発した.これにより,内径50mmの配管内を流動する気泡を時間分解能1ミリ秒,500フレーム/秒にて連続計測を実現させた.
 更なる再構成画像の高精度化を実現するため,画像処理手法の応用などに取り組んでいる.

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クランプオン式超音波流量計による蒸気流量計測

 工場や発電所においてエネルギー需要の約半分を占める熱需要の多くは蒸気により供給されており,エネルギーの有効利用の観点から,蒸気流量を計測が求められている.  
 そこで本研究では,既設の配管に対して外側から取り付けることができるクランプオン式の伝播時間差式超音波流量計に着目し,湿り蒸気流量を計測可能なセンサ開発,新たな計測手法および信号処理法の開発といった多様な面から,蒸気流量計測の実現に向けての検討を行っている.

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超音波流量計の高度化

 工場や発電所における流量計測は,製品品質やエネルギーの有効利用において非常に重要である.そのため高精度な流量計測が求められている.特に大口径の配管では,設置条件やごみの付着などに伴う経年変化により,オンサイトで高精度な流量計測が求められている.  
 そこで本研究では,パルスドップラ法によるオンサイトキャリブレーションを実現するハイブリッド型超音波流量計の開発,および既設の配管に対して外側から取り付けることができるクランプオン式の伝播時間差式超音波流量計の高度化に関する研究に取り組んでいる.

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