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地熱バイナリ発電用蒸発器の高性能化に関する研究 −管群内のボイド率分布と熱伝達特性−

目的

 地熱バイナリ発電では蒸発器としてケトル型リボイラーが用いられる.ケトル型リボイラーは作動流体内に管群が設置され,管群管内を熱源の高温流体が流動するため,水平管群を横切る気液二相流となる. 気泡の流動に伴い,管周りの作動流体を攪拌するため,流動挙動が熱伝達特性に強く影響すると考えられる.
 そこで本研究では,低クオリティ―条件下における管群内の気泡の流動挙動に注目し,管群配列,ピッチ直径比による管群内ボイド率分布と管周り熱伝達率分布を評価することで,気泡流動に伴う熱伝達率に及ぼす気泡攪拌効果に ついて解明することを目的としている.

 

研究内容

 

 本研究では空気-水を作動流体として用いて,矩形流路内に8×4の管群の一部を模擬した試験部を用いて管群内の熱流動特性を研究している.
 動画は,気泡の流動挙動の把握のため,異なった気相流量での管群下から3〜5段目の二相流の様子を,高速度カメラを用いて撮影した映像である. 小さな気泡が菅郡内を一定に流動する気泡流条件では,気泡は管水平方向隙間を主に流れ,管の下部を流動する気泡が少なく,上部ではほぼ流れていない. さらに間欠流条件では,菅郡内を大きな気泡が間欠的に流動していることが確認される.図1に示すX線ラジオグラフィで撮影したボイド率分布からも, 気泡流条件では鉛直方向の管群間においてボイド率分布が高いのに対して,間欠流では管の下部・上部におけるボイド分布が高くなり,全体のボイド率分布が一様になることが確認される.
 管の中央部分に白金線を設置し,白金線を直接通電加熱するとともに,その時の抵抗値から白金線の温度を算出することで,局所熱伝達率を算出できる.この管を回転させることで,局所熱伝達率分布を計測した. 結果の一例を図2に示す.管下部を0°とし,それぞれ図に示す方向で角度を定義している.気泡流条件では,気泡の流動に起因して,単相流に比べて特に管の下流側の領域の熱伝達率が向上している. 間欠流条件では,完全体において熱伝達率が向上し,一定の分布となることが確認された.
 現在,管径と管ピッチの影響を評価するため,異なるピッチ直径比での結果について比較している.


 

発表論文

H. Murakawa, Y. Miyoshi, K. Araki, K. Sugimoto, H. Asano, S. Makimoto
Effect of bubble motion on local heat transfer around a tube across horizontal in-line and staggered tube bundles in bubbly and intermittent flows, Mechanical Engineering Journal 9(4), 22-00069 (2022). https://doi.org/10.1299/mej.22-00069  

H. Murakawa, M. Baba, T. Miyazaki, K. Sugimoto, H. Asano, D. Ito
Local void fraction and heat transfer characteristics around tubes in two-phase flows across horizontal in-line and staggered tube bundles, Nuclear Engineering and Design 344 (2018) pp.66-74. https://doi.org/10.1016/j.nucengdes.2018.05.005

T. Miyazaki, M. Baba, H. Murakawa, H. Asano, K. Sugimoto, D. Ito
Two-phase flow behavior and heat transfer characteristics in kettle reboiler, Proc. of the ASME 2017 Power Conference Joint With ICOPE-17, #POWER-ICOPE2017-3293 (2017). https://doi.org/10.1115/POWER-ICOPE2017-3293

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