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ナノ流体の沸騰伝熱促進

目的

 近年,機器の急速な小型化·高集積化·大容量化に伴い,高熱流束の小型システムにおける効果的な冷却の必要性が高まっている.冷却性能の向上を考えるにあたって,沸騰熱伝達の促進が有効である. その方法の一つとして作動流体への微小粒子の混合という方法が検討されてきた.従来から,ミリ・マイクロスケールの粒子を混入させた研究がなされていたが,流路のつまりや浸食などの問題点があった. そこで粒子径がさらに小さいナノ粒子が用いられるようになってきた.ナノ粒子を混合させることにより,バルクの流体とは異なる物性を示すことが知られている.さらにナノ粒子による流体物性への影響や, 伝熱面表面におけるナノ粒子の堆積による影響で沸騰伝熱促進が可能であることが知られているが,最適な粒子濃度や粒子径など,そのメカニズムについては明確になっていない.
 本研究では,水にナノ粒子を懸濁させたナノ流体による沸騰伝熱促進を目的に研究を行っている.さらに,金属製のナノ粒子を用いたナノ流体に磁場を印可することによる,熱伝達特性が変化について評価を行っている.

 

研究内容

 

 本研究では,Fe3O4/水ナノ流体を用いたプール沸騰実験を行い,体積濃度を変化させた際の熱伝達率の評価,伝熱面の性状の変化を純水の結果と比較し評価している.実験装置の概略図および純水での沸騰様相を右図に示す.ナノ粒子は超音波洗浄機を用いて水に混合させ,体積濃度は0.01~0.2%の間で変化させる.さらに沸騰伝熱促進の能動的制御として,磁場印加による 制御方法について検討を行っている.ネオジム磁石の磁石間距離を変化させることにより磁束密度を調節し,磁場による沸騰伝達特性への影響を評価している.


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