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ミニチャネル直交型蒸発器内の冷媒流れの可視化とボイド率計測

目的

低炭素社会の実現にむけて熱交換器の高性能化が必要とされている.熱交換器の高性能化としてコンパクト化,熱交換温度差の縮小,熱交換量の増大の3つが挙げられるが,これらの要求項目を達成するには, 伝熱面積密度の増大が必要である.流路径を小さくすることで達成されるが,圧力損失が増大するため,多数の並行流路に分ける必要がある.積層型コンパクト熱交換器として,拡散接合マイクロチャネル熱交換器が 蒸発器として期待されている.この熱交換器では,冷媒と加熱媒体の流路が右図のように直交しているため,局所での熱交換温度差が異なり熱流束分布が一様にならない.この不均一な熱流束分布によって冷媒偏流や 不安定流動を招き,伝熱性能に影響する可能性がある.
 そこで,本研究では,並列ミニチャネルで構成される単層蒸発器を対象としてHFC-134aの沸騰熱伝達実験を行い,冷媒流動,熱交換特性に及ぼす実験条件(質量流束,加熱媒体温度)の影響を評価するともに 冷媒流路のリブ形状の操作で相分布の均一化を図っている.

 

研究内容

 

  冷媒沸騰流を二つの方法で可視化している.実製品と同じステンレス鋼製蒸発器に対しては,放射線を利用した中性子ラジオグラフィを適用し,可視化画像から時間平均ボイド率分布を計測した. 中性子ラジオグラフィ実験は京都大学複合原子力科学研究所の研究炉で行っている.一方,冷媒流路壁を透明ポリカーボネート樹脂で置換し,高速度カメラで内部流動を観察した.右の映像は1/20 の速度での撮影画像である. リブはストレート型で本の流路で構成されている.この条件では流動変動が発生し,映像の右(加熱媒体入口)から左に伝播していく様子が確認できる.


 

発表論文

H. Asano, H. Murakawa, R. Moriyasu, K. Sugimoto, Y. Kubo, K. Fukutani, D. Ito, Y. Saito
Visualization and Measurement of Boiling Flow Behaviors in Parallel Mini-channel Heat Exchanger by Neutron Radiography, Materials Research Proceedings 15 (2020) pp.274-280. https://doi.org/10.21741/9781644900574-43

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