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プレートフィン熱交換器内冷媒流れの熱流動特性に関する研究

目的

 地球温暖化問題を背景に,排熱を回収し,高温の大きな熱量を供給できるヒートポンプシステムが必要とされている.この要求に対し,放熱損失が小さく,伝熱面積密度が大きいプレートフィン熱交換器がある. 本研究対象はプレートフィン蒸発器である.プレートフィン熱交換器はフィンが内挿された扁平流路を積層した構造であり冷媒は多流路に分配されるので,熱交換性能において多流路への冷媒分配とともに扁平流路内の 冷媒分布が重要となる.一方,コンパクト化のため各流体の出入口は左右4隅に設置されており,流路内の広がりが重要である.
 冷媒は温水で加熱され沸騰するが熱交換によって温水温度は低下するため,局所の流体間温度差は不均一である.すなわち,冷媒の加熱熱流束分布は温水の流動方向,すなわち対向流もしくは並行流,に依存すると考えられる.
 そこで,本研究では,単層のオフセットフィンを設置したプレートフィン蒸発器を対象とし,冷媒鉛直上昇流とした沸騰実験を行い,熱交換性能に及ぼす熱源温水の流動方向の影響を明らかにすることを目的とする.

 

研究内容

 

 冷媒流路は単層とし,温水で加熱される.面内の熱交換量の分布を評価するため温水流路の外壁面の温度分布をIRカメラで可視化計測した. 壁面を通しての外気への放熱が無視できることが事前実験で確認されており,温水流路にはアルミ製のオフセットフィンが設置されていることから,壁温は温水温度分布に近似できるといえる. 一方,冷媒流については冷媒流路外壁を透明ポリカーボネート樹脂製の壁に置換し,高速度カメラで可視化した.
 右図は,温水を並行流とした場合の冷媒流入口付近の冷媒流動挙動と温水流路壁の温度分布とである.冷媒流の観察および壁温分布の画像と動画はR-245faの結果である.


 

発表論文

式地 千明, 上野 貴之, 箕浦 健二, 浅野 等
単流路プレートフィン熱交換器内垂直上昇沸騰熱伝達に及ぼす加熱媒体流動方向の影響, 日本冷凍空調学会論文集 34(4) (2017), pp.453-461. https://doi.org/10.11322/tjsrae.17-53HE

式地 千明, 富永 悠揮, 浅野 等
オフセットフィンを内蔵したプレートフィン熱交換器内気液二相流の流動特性に関する研究, 日本冷凍空調学会論文集 34(1) (2017), pp.13-24. https://doi.org/10.11322/tjsrae.16-30

K. Shikichi , T. Ueno , H. Asano
Effect of Flow Direction of Heating Medium on Heat Transfer Performance of Single-Path Plate-Fin Evaporator, Proc. of the ASME 2017 Power Conference Joint With ICOPE-17, #POWER-ICOPE2017-3278 (2017). https://doi.org/10.1115/POWER-ICOPE2017-3278

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