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自励振動ヒートパイプの熱輸送特性に関する研究

目的

 現在,小型化・高性能化する電子部品の発熱密度は急速に増大している.従来の冷却システムでは,動作に必要な外部動力の増大やシステムの大型化といった問題が懸念されている. 今後,更なる高出力化に対応するためには高性能でコンパクトな熱分散技術が必要とされている.自励振動ヒートパイプ(Pulsating Heat Pipe:PHP)は少量の作動流体で,設置姿勢に関係なく効率良く熱を伝えることや外部動力を必要としないこと, また生産技術の進歩に伴い信頼性が向上したことで注目されている.しかし,動作原理が複雑であり,その熱輸送特性や動作限界に関して未だ十分な理解は得られていない.
 本研究では,自励振動ヒートパイプの熱輸送特性と内部流動との関係の把握を目的として実験的に検証する.実験では可視化可能な試験部を製作し,作動流体の封入量や設置姿勢によって,熱輸送特性や始動特性について研究している.

 

研究内容

 

 試験部は蛇行した流路をアルミニウム平板に切削加工で作成し,作動流体にはエタノールを用いる. 可視化を可能とするためにポリカーボネート板により流路を密閉している.封入率を40〜60%と変更し,設置姿勢や加熱方法による内部流動観察と壁面温度測定による熱伝導率評価により熱輸送特性について考察している.
 観察された流動状況の一例を示す.表面張力により気相と液相が分離しており,加熱により蒸発した気相により液相が振動し,その振動が隣り合った流路に伝播する自励振動現象が観察されている. この自励振動による液相の移動による顕熱輸送,気相の蒸発,凝縮による潜熱輸送によって熱輸送が行われている.

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