主要な研究テーマ

1. 固体力学における逆問題解析
 電磁気,電磁波,温度,応力などの計測可能な物理量をもとに,逆問題解析によるパラメータ同定を行い,直接計測できないものを 計測する手法を開発している.実験および数値シミュレーションの両面からの研究を行っている. 近年は画像処理や機械学習・AI を 取り入れた逆問題解析や非破壊検査の研究に取り組んでいる.

2. 赤外線カメラを用いた構造健全性トリアージ
 高度成長期に建造された鋼構造物の疲労や劣化が問題となる中,き裂を効率的に検出し,その補修の必要性を的確に評価する構造物 トリアージの構築を行っている.例えば日照や外気温変動による熱移動がき裂付近で変化することを利用した温度ギャップ法を開発している. この他にも負荷を受けることにより固体の温度が変化する熱弾性効果を利用した熱弾性応力解析やき裂先端に生じる特異な応力場を 赤外線サーモグラフィで検出する手法の高精度化に関する研究を行っている.


橋梁のき裂計測

3. 高精度赤外線カメラを用いた非破壊評価手法開発に関する研究
 フラッシュランプやヒーターにより加熱すると内部の状態や欠陥の影響により健全部と比較して非定常な温度変動分布が現れる. これを高速・高分解能な温度計測が可能な高性能赤外線カメラで計測することにより,材料・構造物に存在する欠陥・損傷の 非破壊評価法開発に関する研究を行っている.鋼橋梁の疲労き裂,石油タンク,航空宇宙用複合材料(右下図)など 様々な構造材料を対象に実験的アプローチを主体に研究を行っている.


橋梁ならびに航空宇宙用複合材料の評価

4. テラヘルツ3D/4D イメージングによる損傷評価
 テラヘルツ領域の電磁波は,人体,環境に無害で,優れた物質透過性をもつ.このため塗膜下などに存在する損傷を 3Dイメージングで検出することが可能となる.さらに指紋スペクトルや反射・吸収特性の解析による材料評価・劣化診断への 適用が期待されており,これらの特徴を活かした非破壊評価法開発のための基礎研究を行っている.赤外およびテラヘルツ 分光イメージング計測システムを開発し,機械構造物の見えない損傷の可視化を行う.

THz-TDS 計測

5. 散逸エネルギ計測に基づく疲労強度評価
 製品のモデルチェンジのサイクルが早まるなか,長時間の試験が必要とされる部品の耐久性の調査に対して,より迅速な 疲労強度評価法が必要とされている.散逸エネルギと呼ばれる微小な塑性変形による温度変動を赤外線カメラで計測し, この散逸エネルギを用いて材料の疲労強度を簡単かつ迅速に調べる手法を開発している. 本手法では,危険な負荷を 受けた場合および脆弱な部分では高い散逸エネルギが計測されるため,耐久性の可視化が可能となる.赤外計測に, デジタル画像相関解析法を用いた光学的観察や原子間力顕微鏡(AFM)によるナノスケール観察を組み合わせることにより, 散逸エネルギの発生メカニズムの解明を行っている.産業界で広く使用される鉄鋼材料から,軽量金属,生体適合性材料 として注目されるマグネシウム合金や繊維強化複合材料など幅広い材料が対象となる.


散逸エネルギの計測とき裂発生位置の予測

これまでの共同研究
 本州四国連絡高速道路,石油天然ガス金属鉱物資源機構(JOGMEC),国土交通省,関西電力,千代田化工建設, 新日鐵住金,豊田中央研究所,三菱重工業,DIC,神戸製鋼所,コニカミノルタ,トーカロ,首都高速道路技術センター, NEC,日本アビオニクス,住友大阪セメント,JFEスチール,川田工業,NEXCO西日本エンジニアリング,スバルほか