人間の体温調節と温熱感覚を考慮した熱環境計画に関する研究

体温調節モデルと温冷感モデルの概念図
快適な建築熱環境を実現するためには、評価主体である人間の感覚を量的に表現することが有効です。
暑さ・寒さや体温など人間側の要素と、温度・湿度など物理的要素との関連を表す解析モデルを開発します。
人体熱モデル
伝熱学の理論式と生理学の実験式を組み合わせて作られたもので、人間周辺の環境条件(気温、湿度、風速、熱放射)と人間側の条件(着衣量・活動量)を与えると、体温の分布(深部温や皮膚温)が数値計算により求まります。
下の図は、被験者実験の結果と人体熱モデルによる計算結果を比較した一例です。
多様な場合をパーフェクトに予測するところまでは行っていませんが、実験結果をよく再現する事例も確認されてきています。
![]() 皮膚温・深部温の実験値と計算値の比較 |
Stolwijk model (1971) |
非定常温冷感モデル
皮膚温などの生理量から、暑さ・寒さの感覚(温冷感)を数量的に予測するモデルです。
被験者実験により、皮膚温と温冷感申告値のデータを採取し、非定常状態に適用可能な予測式(回帰式)を導きます。
着衣における熱・空気・湿気移動モデル

衣服の表面温度の解析例
衣服での熱水分移動を考慮した数値計算、実際の形状を考慮した数値流体解析などを進めています。

着衣と皮膚の間に存在する空気層の形状測定(3次元レーザースキャナによる非接触測定:日本人若年男性の平均的体格を模したマネキンを使用)
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![]() Surface shape data (3D laser scanner) |
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人体周りの気流解析(人体・着衣の形状データを利用した数値流体解析)

サーマルマネキンと3人の被験者(右から2番目がサーマルマネキン、暖房環境の評価実験の様子)
本研究はJSPS科研費JP25289195の助成を受けたものです。