音響学 講義ノート No. 2
音の性質:音の基礎知識(その1)
★ 音と波動
- 音は空気の振動であることは,前回既に述べた.振動が生じるにはは「バネ」と 「質量」が必要であるが,空気には弾力がありこれが「バネ」として働く.また,
空気は1立方メートルあたり,1.2kgの重さを持っており,これが質量として働く. この振動が,波動(波)として空間を伝わっていく.
- 波には,縦波と横波の2種類がある.横波は媒質粒子(媒質=波を伝える物質) の振動が波の進行方向と直角であるが,縦波は同じである. ・
音は,縦波である.(媒質粒子の粗いところと,密なところができる=粗密波と も言う) (「音のなんでも小事典」pp.268〜269)
- 別の言い方をすると,音は圧力の変動の波である.(圧力の高いところと,低い ところが交互に生じる.)
★ 音が伝わる
- 机をたたく,あるいは太鼓をたたく,などのきっかけで空気が押されると,押さ れた空気が密集してまわりより圧力の高い部分(密な部分)が生じる.すると,
これが隣の空気を押す...これを繰り返して,波が伝わっていく.圧力の高い ところの間には,圧力が低い(空気がまばら=粗な部分)ところができる.
- 音の伝わる速度(音速)は,空気中では毎秒340mである.温度が高いほど音速
は大きくなる.(ちなみに,水中では毎秒1500mである.)
★ 音の強さと大きさ
- 音の強さ=音の大きさ...ではない.
- 音の強さは物理的な強さで,客観的なものである.端的に言えば,前述の圧力変 動の幅のことである.音の大きさは,感覚的,主観的なものであり,必ずしも
「強さ」とは一致しない.
- 音の強さは,普通「音圧」で表わされる.これは前述の「圧力変動の幅」であり, 「音がないときの空気中の圧力=大気圧」からの音による圧力の変化分である. (「音のなんでも小事典」pp.282〜285)
- 通常は,「音圧」そのものよりも,これを対数で表わした「音圧レベル」(単位 はデシベル,記号 dB)が用いられることが多い.これは,人間に音として聞こ
える音圧の範囲が12桁にも渡る広範囲であるため,対数をとることで扱いやすく するという意味と,人間の感覚が刺激の強さの対数に比例する性質を持つことの
両方の理由による.
★ 音の高さと周波数
- 音の高さは,普通「周波数」によって表わされる. (「音のなんでも小事典」pp.273〜274)
- 周波数とは,一秒間に何回圧力変化のサイクル(圧力変化の上昇・下降の基本パ ターン)が繰り返されるかを表わしたものである.単位はヘルツ(記号 Hz)
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