音響学 講義ノート No.3
音の性質:音の基礎知識(その2)
- 人間に音として聞こえる周波数の範囲(=可聴周波数範囲)は,個人差もあるが
だいたい20〜20000Hzである.(注意:1000Hzを1kHzと表記することが多い.)
年齢とともに上限の周波数は低下する傾向があるが,それ以外にも騒音の影響な どである範囲の周波数の音だけが聞こえなくなる場合もある.(「音のなんでも小事典」pp210〜
214)
- 等ラウドネス曲線(「音のなんでも小事典」p.293):人間の耳に同じ大きさに聞こえる音の,周
波数と音圧レベルを示したもの.例えば,1000Hz 40dBの音と同じ大きさに聞こ
える100Hzの音は約52dBくらいである.(注:音の大きさのことを,ラウドネス ともいう.)
- 最小可聴値(人間の耳に聞こえるもっとも小さい音)→「音のなんでも小事典」p.293.周波数に
よって値が異なることに注意(周波数が低い音ほど,最小可聴値が小さい,とい うことは感度が悪いということ.)
- 難聴(p.295,pp.210〜) ・ 実験:周波数によって耳の感度が異なることを確かめてみよう.
- 周波数と音高の関係:標準高度A=440Hz,各楽器の音域など(「音のなんでも小事典」p.297,表1 参照)
- メル尺度(「音のなんでも小事典」pp.295〜296):1000Hz 40dBの音の高さを1000メル(mel)と定
義し,高さが2倍に感じられる音を2000メル,半分に感じられる音を500メル.周波数が高くなると,メル尺度の値も大きくなる.ただし,メル尺度の2倍は,周波数の2倍に一致しないことに注意.
- オクターブ(「音のなんでも小事典」p.297):周波数が2倍になる物理量.上述のメル尺度とは異 なる.
★ 音の伝わり方
- 点音源と球面波(「音のなんでも小事典」p.273):点音源から発生する音波は四方八方に球面状
に広がる(球面波)ので,距離に反比例して減衰する.(距離減衰という)実際 には音源が「点」でなくても,音源が十分小さい場合,点音源として扱われる.
- 室内での特徴:上記の特徴は,あくまで周囲に音を反射する物体がない屋外(自由空間)の場合である.室内では,壁,天井,床など壁面での反射が多数あるた
め,単純には減衰しない.詳しくは,No.5以降で述べる.
- 減衰しない波:平面波(「音のなんでも小事典」p.273)は球面波のように広がらないので,減衰 しない.例えば,管の中を伝わる音波など.
- 反射と吸音(「音のなんでも小事典」pp.22〜25):音は物体に当たると,一部は反射し,残りは 吸収(吸音)される.
- 屈折と回折(「音のなんでも小事典」pp.16〜18):音は原則は光と同様に直進するが,曲がる場
合がある.屈折は異なる媒質の境目で生じるもの.回折は,障害物のかげに音が回り込んで伝わること.
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