音響学 講義ノート No.6  
室内音響とコンサートホール(その2)


 ★ 室内の音響現象

  1. エコー:エコーとは,直接音から遅れてやってくる反射音の内,直接音と分離して聞こえるもので,ホールでは重大な欠陥となる(音がずれて聞こえたりするので,会話や音楽が聞き取れなくなる.)(注:残響のことを「エコー」と呼ぶことがあるが誤りである.)
  2. 鳴き竜(フラッターエコー):平行な平面の間などでは,音が繰り返し同じ経路で反射されるため,ピチピチ,プルプルといった不快な音が生ずる.
  3. 音の焦点:大きな凹曲面があると,音が焦点にあつまって,音の分布が均一にならない.
  4. ブーミング:特定の周波数の音(主に低音)が特によく響き,ブーンといった音をたてるもの.(風呂場やガレージなど,比較的小さな空間で,吸音が不足している場合に起こる.)
  5. 残響過多:音楽を聴取する場合には特に,残響は豊かな響きを得るために必要であるが,度を超えると障害となる.(長すぎる残響は邪魔になる.)特に,会話の場合には残響時間が長すぎると,著しく明瞭度が下がる.
    これらの特異現象を防ぐには,主に吸音処理が行われる.
  6. そのほか,反射音の到来する条件によっては,音色が変わる(カラーレーション),音が音源と違う方向から聞こえる(音像移動,またはイメージシフト)などの現象がある.

 ★ 室内の音響設計

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