音響学講義ノート No.9
楽器の音響学(その1)


★楽器 − 音を発生する装置

  1. 急激な圧力変化:空気の温度が急激に上がり膨張する,あるいは空気が圧縮される...など,急激に空気の圧力が変化すると,それによって音が発生する.例としては,手拍子や雷鳴があげられる.前者は,手と手を打ち合わせた時に,間に挟まれた空気が急激に圧縮され,それが外へ吹き出すことによって空気の振動を生じるもの(手が振動して音を出すのではない).分厚い本を閉じたときに出る,バタンという音も同じである.一方,雷鳴は大量の電流が急激に空気中を流れた結果,その周辺の温度が急激に上昇して空気の膨張が起こり,それが音として聞こえるものである.
  2. 振動する物体:板や膜などが振動すると,その周辺の空気も一緒に振動を始める.その結果,音が発生するものである.音を発生させる場合,もっとも多く用いられる方法である.例としては,太鼓の皮やスピーカの他,いろいろなものがあげられるだろう.
  3. 連続的な圧力変化:鋭いエッジに気流があたると渦が生じ,連続的に圧力の変化が生じる.あるいは,適当な装置やメカニズムによって,気流の強さを変化させるなどして,圧力が連続的変化を生じる場合もある.このような形で,空気の圧力に連続な変化を直接生じさせることが出来る.ほとんどの管楽器が,この機構で音を発生しており,リード機構と呼ばれている.

★楽器の分類

  1. 一般的な楽器を分類を調べてみよう.それが,何をもとに分類されているか,考えてみよう.
  2. いろいろな楽器を,(1)何が振動するか,(2)どのように演奏するか...など,いろいろな基準を決めて,分類してみよう.(管楽器の場合は,何が振動して音が出るのだろうか?)

★共振系と固有振動,倍音

共振(共鳴)とは,外部から力が加わって振動した場合,力の周波数が固有周波数と一致したときに,物体が著しく振動する現象のことである.固有振動を持つ振動系は,共振を起こす性質があるため,「共振系」と呼ばれているわけである.(「音のなんでも小事典」:pp.279〜280)

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