Mie(ミー)共鳴ナノ粒子導入による透明木材の高機能化
「木材」は,配向したセルロースナノファイバーからなる骨格とミクロンスケールやナノスケールの細孔から構成される天然構造材料である.太古の昔から利用されてきたが,基本的に茶色であり意匠の自由度が限られるため,利用範囲が限定されている.その問題を解決するために,脱リグニン化もしくは漂白処理の後に樹脂を注入し透明化した「透明木材」の開発が行われている.さらに,「透明木材」のナノスケール細孔にナノ粒子を注入することにより新たな機能・特性を付加する研究が活発に行われている.本研究では,申請者のグループが独自に開発した可視光領域に鮮やかに発色するMie共鳴シリコンナノ粒子を透明木材の細孔に注入する技術を開発し,それにより内部から構造着色した木材を実現した.Mie共鳴による発色は構造発色であるため,着色した木材は屋外の強い紫外線下でも永久に退色しない.また,構造発色の色はシリコンナノ粒子のサイズにより可視光のほぼ全領域にわたって制御可能である.シリコンナノ粒子は細胞壁のナノスケール細孔に注入されているため,木材を切断・切削しても色は保たれる.これは,木材を着色アクリル樹脂と同様の形態で利用できる可能を示唆している.さらに,シリコンナノ粒子は木材の発火温度である450℃程度では不燃であるため,難燃化も期待できる.本研究は,天然材料である木材と高環境親和性材料であるシリコンナノ粒子を組み合わせて新機能材料を実現するという,持続可能社会実現に貢献する重要な取り組みである.
事業最終報告書
この研究は、競輪の補助を受けて実施しました。



