研究テーマ:
がんサバイバー研究

乳幼児をもつがんサバイバーである母親ががん診断後に抱える困難

私たちは、乳幼児をもつがんサバイバーである母親ががん診断後に抱える困難を明らかにする研究に取り組みました。方法は、出産後にがんの診断を受け、乳幼児の子どもを育てることを経験した母親5名を対象に、半構造的面接を実施しました。その結果、「子どもを残して死ぬ恐怖があり、生きる希望が持てない」「不確かで長い治療がつらい」「治療と子育ての両立にせっぱつまる」「無理をせざるをえず、その人にとってのあたりまえの生活ができない」「がんを受容しきれずにもどかしい」「がんにより子どもと家族を巻き込むことがつらい」「頼れる資源や情報が付属している」「経験者に出会えずにつらさを共有できない」「治療と生活が重なる経済的負担がある」という9つのカテゴリーが抽出された。母親には、治療と子育ての両立支援や母親同士の支え合いが重要と示唆されました。

乳幼児をもつがんサバイバーである母親のエンパワメントに関する研究

エンパワメントとは、人々が自分の健康に影響のある意思決定と活動に対し、より大きな支配力を得る過程と考えられています。私たちは、乳幼児をもつがんサバイバーである母親のエンパワメントに関する研究に取り組んでいます。

乳幼児をもつがんサバイバーである母親のエンパワメント尺度の開発

がんと診断された人の5年相対生存率は、男女計で60%を超えており、がん患者は、がんを抱えて生き抜くサバイバーとしてとらえることが重要と考えます。その中でも、乳幼児をもつ母親は、親子関係を形成し、親としての役割を自覚し、対処していく時期であり、様々な葛藤を抱える時期です。私たちは、乳幼児をもつがんサバイバーである母親のエンパワメントを、母親ががん体験を通して、様々な折り合いをつけながら、主体的に自分なりの人生を生きている状態と考えています。そこで、乳幼児をもつがんサバイバーである母親のエンパワメント尺度の開発に取り組んでいます。

乳幼児をもつがんサバイバーである母親のコミュニティ・エンパワメントモデルの開発

私たちは、乳幼児をもつがんサバイバーである母親のコミュニティ・エンパワメントを、乳幼児をもつがんサバイバーである人々が、自分たちに共通の課題に気づき、その改善やwell-beingの実現に向けて、自分たちだけでなく、地域に向けて行動をおこし、影響を与えていく過程であり、その結果を含むものと考えています。乳幼児をもつがんサバイバーである母親のコミュニティ・エンパワメントの過程を多職種で支援するモデルを開発しています。