ディジタルホログラフィック顕微鏡

きた細胞の動的3次元イメージング

生きた細胞の動的3次元イメージングはバイオ応用分野において重要な計測技術です。例えば、蛍光顕微鏡を使って細 胞核中の特定DNAに蛍光分子を導入し、有糸分裂する細胞の変化を計測することなどが挙げられます。また、位相像は透明物体の形状測定に有効です。最近の研究用顕微鏡にはこれら2つの機能が搭載された製品も登場していますが、フィルタの入れ替えが必要な上、一度の計測範囲は1 点もしくは2次元に限られます。高分解能かつ高コントラストな計測には共焦点走査顕微鏡を使って蛍光像の3次元計測が可能であるが、3次元 イメージングに時間がかかるために、変化が速い現象の計測には不向きです。

 瞬時的な3次元計測を可能とする方法として、ディジタ ルホログラフィーを用いる研究が活発に行われています。ディジタルホログラフィーでは3次元情報をホログラム情報として取得し、計算機内で 光波の逆伝搬計算を行うことで奥行き位置に対する物体の光波情報が再構成されます。特に、位相情報を定量的に計測可能です。Off- axisホログラムを使って位相差像を得る方法は1960年代から研究が始められ、計算機やイメージセンサーの発展と共に実用化されているものもあります。また、蛍光3次元イメージングを実現する蛍光ディジタルホログラフィーも提案されています。

 研究では、蛍光と位相差像を同時計測可能なディジタルホログラフィック顕微鏡の開発に向けて、システムの構築と可 能性の確認、実用化に向けた研究を行っています。